緊急時の点滴確保 骨髄内穿刺針
2007年3月 7日
電話をとると某救急病院内科医からの電話であった。
その医師曰く
「近所の歯科医院で、つい先ほど治療をしたそうです。
歯の神経の治療をしたあとに唇周囲が腫れてきたので診てもらえないか。」との内容であった。
快く承諾し、直ぐにクリニックへ戻った。
確か午後7時半を廻っていたと思う。
クリニックへ着き白衣に着替えるころ、患者さまが来院した。
問診票を書いて頂くほんの数分の間の患者さまの顔色の変化に私は唖然とした。
顔色は急に顔面蒼白になり、全身の寒気、呼吸が早くなり、死の恐怖を訴えた。
この段階が、坂道を転げおりるように急激に訪れた。
問診票の記載を中止し、すぐさま歯科ユニット上へ。
モニターを装着し、血圧、脈拍、動脈血中酸素飽和度を測定開始する。
症状は悪化の一途。
最高血圧100、、90、、80、、、。
(内心うそだろ。悪い夢だよな。)
私しかいない。スタッフは既に帰宅ずみ。
すかさず100%酸素吸入を開始。
救急セットを開ける。
乳酸リンゲル液と点滴回路を探し出す。
注射針のキャップを外す。
駆血帯を巻いて浮き出てくるはずの血管がない。!(教科書通り)
薬剤性ショックだ。!
最悪の事が頭をよぎる。
この血管がとれなければ、この患者は、、、、、、、。
最後の望みを託して、血管を確保した。
ホッとするのもつかの間、シバリング(ぶるぶる震えだすこと、酸素消費量があがる。ショックが進行しているサイン)が始まる。
急いで、ソルコーテフ、強ミノファーゲンCを点滴側管注。
点滴全開!
症状が持ち直してきた。
119へ電話をして、すぐに救急車を呼んだ。
紹介先の救急病院へ再送。
幸い、初期治療が適切に行えたため、その患者さまは、数日のICU入院からなんの後遺症もなく退院できた。
ほんの数十分の出来事であったが、とても長い時間であった。
もし、あそこで血管確保ができなかったら、、、、、。と考えたら
怖くなった。
そこで、今回是非、救急で活躍する医師や、血管確保に自信のない歯科医師に知ってもらいたいアイテムをご紹介いたします。
骨髄内穿刺針。
これは歯科医師なら絶対使えます。
足の脛骨や、腰の腸骨にグリグリと差し込む。
骨に刺さったら、内筒を抜く。
一度10mlでも20mlでもいいので生食で強圧をかけてフラッシュする。
最初抵抗があるが、サッーと抵抗がなく流れだしたら、点滴回路を接続。
側管注で緊急薬の点滴を行う。
これなら、いざと言うときに点滴がとれます。
このセット佐波伊勢崎歯科医師会の救急セットに組んであります。
是非、各歯科医院でも常備して下さい。
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