インプラント、審美補綴、顎関節症、痛くない麻酔、歯科医院での全身管理、歯科救急
歯科用顕微鏡を使用して分かってきたこと。歯牙縦破折
2006年9月20日
最近、驚いた事がある。
それは、今まで原因不明な歯の痛みが歯の縦破折である事を歯科用顕微鏡を利用して分かった事だ。
口腔内では、光源が口の外から入り、また光源と視線とが一致しないために常に影(術者のあたま、器具や歯の影)が歯に投射させる。光源を強くすると今度は歯牙の白色によりハレーションを起こし、歯の表面の細かいディーテイルが白くとんでしまう。
レントゲンでも近遠心的な縦破折線は映ってこないために、診断は困難を極める。
昨年の秋頃より、噛み締め時の疼痛。冷水痛を訴えていた患者さまの歯牙です。
当初、知覚過敏および、外傷性こう合により症状が出現していると考え、それに対処する処置を行った。
しかし、症状は一向に良くならず。
激痛をうったえるように症状は悪化した。
再度、歯科用顕微鏡で精査を行った。
メチレンブルー染色液により破折線を染色して、根尖におよび破折線を確認した。
一度、この破折線が表在性かどうかを確認するために、上から象牙質まで削ったところ、破折線は遠心から近心面に髄床を横断するようにあることを確認した。
このような場合、抜髄処置を行っても、噛む力により歯が破折線から開いてしまうため、歯根膜由来の疼痛が引き起こされる。
そればかりか、破折線周囲からの漏洩により歯の周囲の骨も広範囲な感染を引き起こし、大きな骨の吸収が生じてくるために、残念であるが抜歯の適応症であると患者さまにご説明した。
抜歯承諾後、抜歯を行いメチレンブルーにて染色した歯である。
縦に破折線が有る事が、分かるであろう。
この患者さまだけでなく、このようなケース。
約9ヶ月で、5例以上を発見している。
歯周組織再生療法
今までに無い歯周治療とは?
ご存知でしょうか。最近新聞なので取り上げれる事も多い、再生療法。
今日はその話をしたいと思います。
歯周病とは、どのような病気かご存知ですか。
歯の周りの組織、歯根膜や歯の周りの骨が歯周病菌からの毒素により溶かせれてしまい、歯の周りに病的な歯周ポケットをつくる病気であります。(外的な力によっても、歯の周りの骨の吸収は起こります。)
簡単に言いますと、歯の周りの骨が吸収されて歯がグラグラしてしまう病気。
自覚症状は、歯ブラシの時に血がでる。(自覚症状に欠けますが)口臭がする。歯がぐらつくという症状。
従来の歯槽膿漏の治療は、除石(スケーリング)や歯ブラシ指導が主でありました。
もちろん、上記は大切な治療ではありますが、それでは深い歯周ポケットの改善は困難であります。
そこで、歯周外科処置を行わなければなりません。
今までも歯周外科処置はありましたが、従来の方法で処置を行っても、歯根の周りの上皮は、長い上皮の結合状態となり、本来歯の周りに付着する歯根膜の再生を果たす事が困難でありました。
しかし、エムドゲインという薬剤を使用することにより、歯根膜の再生を可能としました。
この薬剤本当にすごく効果があります。
術後数ヶ月で歯周ポケットが減少し、歯の動揺もなくなります。レントゲンで撮影すると歯の周りの骨も再生されております。
歯周病でお困りの方は、いちど植田歯科にご相談下さい。
エムドゲインの適応症かもしれません。
精密インプラント位置決めインデックス
2006年9月18日
ALL-ON-4での超精密なインプラント位置決めインデックスについて説明を行う。
通常の歯科でもとれられる精度の数倍の精度をインプラント上部構造製作には必要である。
植田歯科では、通常の歯科治療でも顕微鏡を使用し、保険治療においてもベストを尽くすことを目標としている。(これがとても難しい。保険で使用する12%金銀パラジュウムでは、どうしもパーフェクトフィットは困難な面もあります。)
ボーンアンカードブリッジのインプラント上部構造には、加熱を行わないチタンインゴットの削りだしを用いパーフェクトパッシブフィットを目指しております。
では、この位置決めインデックス法についてご紹介します。
手術当日に取った印象をもとに、チタン製テンポラリーシリンダーを模型上に連結して、コバルトクロム製のインデックストレーを製作。
これを、頬側からと舌側から連結できるように分割。
口腔内でパターンレジンを用いて、連結。
口腔内から撤去後、アバッメント レプリカをチタン製テンポラリーシリンダーに連結して、そのレプリカの足もメタル製のバーを加工して連結。
超硬石膏を通常の粉液比より薄く練り、石膏の膨張硬化膨張を抑制しマスターモデルを製作。
(これとは別に、通常の粘膜がきちんととれる印象も取っておく事が望ましい。)
ここで紹介した、インデックス印象は、メタルフレームの適合を高めるために必要な模型の製作と考えて欲しい。
ALL-ON-4(インプラントアドバンス歯科医師向け)
2006年9月17日
ALL-ON-4は、無歯顎への4本のインプラントで1日で手術からインプラント上部構造をセットする方法である。
9月10日に東京でのCLUB22勉強会において、私およびその他の先生らから、このテクニックの難しいポイントについて発表を行った。
まず、このテクニックの困難なポイントをあげる。
1、傾斜埋入されたインプラントにセットされる角度付きアバットメントの連結。
2、同日負荷へのリスク。
では一つずつ解説を行ってゆく。
1、傾斜埋入されたインプラントにセットされる角度付きアバットメントの連結。
これは、本当に難しい。
まず、フィクスチャーの埋入深度が大切。
通常のように少し深く埋入すると角度付きアバッメントを連結する際に、必ず後方の骨が アバットメントと干渉をする。そのために、深めに埋入した場合には、ボーンミルを使用して周囲の骨を少し余分に除去する。
ボーンミルを駒が止まりそうになった時に軸をブラして回転するように大きく弧を描くようにフィクスチャートップ周囲の骨を除去する。
BOC小宮山先生によれば,通常より少し浅めに埋入してこの、ボーンミルの軸をブラしての骨除去を行う事を推奨している。
次に、連結である。これが難しい。
現在の角度付きアバットメントには、内面に12角形があるためにこの連結がすごく大変。
それに、フィクスチャー内面にあるスターグリップ穴には内ネジが切られていないため、角度付きアバッメントの挿入方向が、規定されにくく誤った方向にアバッメントスクリューが挿入されても分かりずらい構造となっております。誤って挿入方向を間違うとフィクスチャーの内ネジが壊れてしまいます。
今回の症例検討会でも、フィクスチャーの内ネジを壊してしまった報告がりました。
では、どうするのか。
静岡の白鳥先生にアドバイスをもらいました。
まず術者の姿勢と患者の頭部の位置関係の決定。
フィクスチャー埋入時のスターグリップマシンドライバーの挿入方向と角度付きアバッと面と上のユニグリップマシンドライバーの挿入方向の記憶。これが大切。(書くと簡単ですが非常に難しい。よほどこのテクニックに精通していなければ無理。白鳥先生はおそらく日本でも5本の指に入る多くの症例を経験されているから出来るのであろう。)
小宮山先生は、この最初の角度付きアバットメントの連結は、マシンドライバーではなく手用ドライバーで行うようことを推奨。
(これも、石橋を叩いて渡る小宮山先生ならではの、コメント。これもまた難しい。指を口腔内に入れると全くと言っていい程、フィクスチャーと角度付きアバットメントとの位置関係が肉眼で分からない。)
私の場合どうしているかというと。
歯科用顕微鏡を用いてフィクチャーの内ネジの方向を確認してマシンドライバーにて連結。
(これも、非常に難しい。マイクロのピントと術野確保、角度付きアバットメントのアクセスホール挿入方向の決定をマイクを覗き込みながら、同時に行わなければならない。)
そこで、ノーベルバイオケアの森山さんから海外のノンエンゲージリングの角度付きアバットメントの紹介。
(このノンエンゲージリング角度付きアバットメントも問題がある。一度アバットメントスクリューを緩めたら、位置決めジグがなければ二度と上部構造は口腔内にもどりません。インプラント補綴的厳密に言えば、位置決めジグがあっても、二度と同じようには角度付きアバットメントは連結できなといっても過言ではないのですが。)
2、即時負荷のリスク
現在のインプラントは、表面性状がタイユナイトとなり骨結合が促進される構造となっているが、手術および補綴が全てがうまくいって初めて、即日負荷が可能である。
手術中にインプラントの初期固定に不安が生じた場合には、負荷の遅延を必ず行う事。
また、インプラントの微小動揺は、インプラントディスインテグレーション となるので、強固な連結が必要である。
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インプラント外来
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